日本語の用語集が防ぐ誤訳。

こんにちは。
アーキ・ヴォイス翻訳コーディネーターのオーです。

今回もスタッフ間での事例共有会にて、
お客様から寄せられる質問や要望に関し、
上長が共有した内容をお伝えしたいと思います。

お役に立てば、幸いです。

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■■日本語の用語集が防ぐ誤訳■■

ここ2週間に渡り、用語統一に関する
情報を共有してきました。

話をしている中でひとつ思い出したことが
ありますので、

今日はそれについてお話したいと思います。

それは、日本語の用語集が防ぐ誤訳、
についてです。

以前、あるお客様の翻訳を担当した際、
英語へ翻訳したファイルを納品したところ、
海外の現地法人から「ここは誤訳では?」
という指摘を受け、再チェックしたことが
ありました。

どのような指摘だったかというと、

full-time(専業)

とすべき箇所が

captive(専属)

となっている、とのこと。

もともと翻訳開始前、
これらの単語は誤解を生む可能性が
あると感じており、

翻訳担当との間では
以下のように定義していました。

*専業:
他の仕事をせずにこの仕事を本業とする
→full-time

*専属:
ある会社の仕事だけを取り扱うとする
→captive

翻訳担当者との間で上記の定義を
用語集を作成して共有していたため、

原文と訳文を照らしあわせてみると
誤訳ではないことがわかりました。

しかし、海外現地法人からは
「もう一度チェックしてください」
とのこと。

そこでもしやと思い、
日本側のお客様に聞いてみました。

「もしかすると、日本語原文自体が
間違っていませんか?」

こう聞くと、思ったとおりでした。

日本語原文で本来、

「専業(full-time)」とすべき箇所が
「専属(captive)」になっていた、

というわけです。

このように、似ている日本語が
登場する場合、

お客様自身が原文作成時に言葉の意味を
混同して作成している可能性もあります。

コレを防ぐためにも、
事前に日本語版の用語集も作成し、
社内でハンドブックのように共有しておくと、

翻訳時には誤訳を防ぐことができますし、
また用語統一の役にも立ちます。

用語集は訳文にだけ役立つのではなく、
原文にも役立つという認識を持ち、

精確性を求めるお客様に、
作成を勧めてみることも大事かもしれません。

(以上、ミーティング内容より)
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似て非なる言葉はたくさん存在しますので、
私たち自身もそういう言葉に対し、

「こういう意味だろう」と思い込むことは
危険だとつくづく思いました。

しかし翻訳してはじめてこういう怖さを
知るわけですから、

翻訳経験の豊富な私たちが
そのようなリスクをお客様に伝えることは
お客さまにとっては必要なサービスなのかも
しれない、とも感じます。

必要の際には、用語集の提案など
できれば、と思います。