アーキ・ヴォイスの
コーディネーターです。
今日から3月に入りました。
本当にあっという間です。
ついこの間、2019年になったと
思ったのですが・・・
さて、昨日までの2日間、
ベトナムのハノイで
米朝首脳会談が行われました。
注目されていたにも関わらず、
ものわかれに終わってしまいました。
会談前の二人の友好的な雰囲気と
会談後の仏頂面が対比的でした。
まるでビフォーアフター。
テレビを見ていると、
トランプ大統領が金正恩委員長に
過大な要求をしたため、交渉が
うまくいかなかったんだ、という
コメンテーターの方もいましたが、
それは違うのではと思います。
本来、今回の会談は昨年6月に
シンガポールで行われた初めての
首脳会談で取り交わされた内容、
「北朝鮮の最終的かつ全面的に
検証された非核化」を確認する場
だったはずです。
蓋を開けてみると、
北朝鮮側は一部の核施設を
廃棄する意向を示しただけで、
「制裁の完全な解除」を
求めてきたと言われています。
過去を振り返ると、
金正恩委員長の先代は
こうした口約束でなんとか
乗り切ってきました。
それは1994年の核開発凍結の口約束、
2005年の核兵器放棄宣言などです。
いつも「やめますやめます」と宣言し、
実はやめていませんでしたという形で、
核開発を続け、結果、核兵器を搭載する
ミサイルまで完成させました。
一昨年、北朝鮮のミサイルが何度も
日本上空を飛び越えていきましたが、
最終的には米国本土にミサイルが
届くのではというほどに開発は進みました。
こうした過去の経緯を振り返ると、
トランプ大統領が北朝鮮に対して、
前の会談で取り決めた「全面的な非核化」
を要求し、きちんと非核化を終えるまでは
制裁を解除しないと主張するのは、
当然と言えば当然の話。
今回の会談にあたり、
事前に事務方が交渉内容を
詰めていたはずですが、
結果は不調に終わりました。
何が起こったのでしょう。
個人的な推測ですが、
北朝鮮側は、会談前の友好的な
雰囲気に流されて、アメリカに対して
つい高めのボールを投げてしまった。
すると相手が帰ってしまった。
こんな感じではと推測しています。
だとすると、北朝鮮は現在、
呆然自失の状態になっているのでは
ないでしょうか。
ビジネスの世界だと、
大きな交渉を行う場合、
タイムリミットを持っている側が
妥協せざるを得なくなり
不利になるのが常です。
今回、トランプ大統領は
わざわざ事前に「急いでいない」
と口外しているように、交渉の結果を
急ぐ必要はありませんでした。
むしろ、タイムリミットが
本当に迫ってきているのは北朝鮮の側。
このまま経済制裁が続くと、
体制の維持そのものがあやうくなりますし、
すでに北朝鮮では餓死者も多数でていると
いわれています。
そして制裁が続く状態では
中国であれロシアであれ、
他国は表立って北朝鮮を
支援することができません。
特に中国は米国と貿易戦争の真っ只中。
世界中の注目を集めておいて
トランプ大統領の今回の結論、
「No Deal(取引しない)」は
北朝鮮側にとってかなりの
衝撃だと思います。
同時に、中国や韓国、ロシアも
驚きの目で今回の結末を見ているのでは。
テレビのコメンテーターの中に、
トランプ大統領がお抱え弁護士など、
本国の問題があるため、北朝鮮に
過大な要求をして交渉が決裂した、
と言っている方がいましたが、
今回の交渉とは全く関係ない気がします。
今後、北朝鮮はどこに向かうのでしょうか。
成り行きを注目したいと思います。