超予測

アーキ・ヴォイスのコーディネーターです。
今朝、本当に北朝鮮から
短距離弾道ミサイルが発射されたようです。

さて最近、

『 超予測力 ― 不確実な時代の
  先を読む10か条 』

という本を読みました。

著者はフィリップ・E・テトロックと
ダン・ガードナー。

本書の内容は、著者達が
「超予測者(Superforecaster)」と呼ぶ、
予測のトップ2%のエリートが
どのように予測を立てるかを調査したものです。

ちなみに2年ほど前、弊社は
この著者達の論考を翻訳していました。
(『2016 世界はこうなる』、日経BP社、96頁)

当時の内容が面白かったことと、
最近訪問した会社にこの本が
置いてあったことがきっかけで、
今回、『超予測力』を読んでみました。

 (なお弊社が翻訳した当時は、
  今回の書籍が出版される前だったため、
  「Superforecaster」をそのまま、
  「スーパーフォーキャスター」と訳してます)

メインの著者のテトロックはかつて、
「専門家の予測精度は
 チンパンジーのダーツ投げ並み」
という発言で注目を集めた
ペンシルバニア大学の教授です。

今回の『超予測力』でテトロックは、
予測のために集められた数千人の中から、
上位2%に入る予測精度の高い特殊な人々を
「超予測者(Superforecaster)」と呼び、
どのようなロジックで予測を立てていくのか、
詳しく取り上げています。
驚くことに、彼らはCIAの情報分析官よりも
はるかに高い精度の予測を行います。

こうした予測テストのお題は、
「朝鮮半島で戦争は勃発するか」
「金相場は暴落するか」
といったことが挙げられています。

テトロックによる調査の結果、
超予測者達は天才並みのIQを持つわけでもなく、
予測に複雑な数式を用いるわけでもありません。

超予測者たちは大抵、
似通った手順を踏むそうで、
それはおおよそこんな感じだそうです。

(1)質問を分解し、知ることのできる情報と
   知ることのできない情報を分ける。

(2)多くの人々が予測すべき事象そのものに
   注目するのに比べて、超予測者たちは
   事象の発生確率に注目する。

  (これはわかりにくいですが、例えば
   北朝鮮情勢であれば、北朝鮮の内部情勢に
   注目するのではなく、単にミサイルの
   発射頻度などを確率的に考える、
   といったことだと思います)

(3)また超予測者たちは自分たちの予測が
   絶対とは考えず、絶えず他の人の予測と
   比較検討し、予測の精度を少しずつ高めていく。

この『超予測力』を読むと、
未来予測は筋肉のように
鍛えることのできる
スキルといえそうです。

『 超予測力 ― 不確実な時代の先を読む10か条 』