アーキ・ヴォイスのコーディネーターです。
さて一昨日、日本政府観光局は、
4月の訪日外客数が
208万1800人だったことを発表しました。
(前年同月と比べて18%増)
中国からの訪日客が27%増加し、
東南アジアからの客数も
20~30%増加したとのことです。
先月取り上げましたが、政府は
2020年までに訪日客を4000万人に
倍増させる目標を発表しています。
訪日観光客が拡大していく中、
今週火曜(5月17日)の『日経新聞』1面に
面白い記事が出ていました。
「 人手不足で規制緩和
保育士比率下げ・ガイド通訳資格不要」
http://www.nikkei.com/article/DGXLZO02405380X10C16A5MM8000/
(日経の記事にジャンプします)
記事によると、
政府は人手不足解消に向け、
実態にそぐわない規制の緩和に動くそうです。
また本日の日経によると、
昨日の規制改革会議で80項目の
規制緩和策がまとめられ、
通訳案内士の国家資格がなくても
観光ガイドの報酬を得られるよう
法改正が盛り込まれたそうです。
これまでは「通訳案内士」という国家資格がないと
有償でのガイドはできなかませんでした。
今後は資格がない人にもガイドが
認められる方向になるようです。
今回はお問合せをいただくことが多い
「通訳案内士」について
取り上げてみたいと思います。
・・・
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■ 通訳案内士とは ■
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「通訳案内士」とは、観光客に対して
外国語通訳及び観光案内を行って報酬を得る職業、
つまり通訳を行うプロの観光ガイドのことです。
本来、報酬を得て外国人に付き添い
外国語を使って旅行案内をするためには、
1.通訳案内士試験という国家資格を得た上で、
2.都道府県に登録する必要があります。
なお、登録を受けないで報酬を得て通訳案内を
業として行うと、50万円以下の罰金が科されます
(通訳案内士法第40条)。
これまでも旅行会社が厳重注意処分になったり、
今年3月には、免税店を案内して売上に応じた
コミッションを得ていた2人の中国人不法ガイドが
摘発されています。
ちなみに、通訳案内士の方々は、
無資格で通訳案内される方を
「ヤミガイド」と呼んでいます。
なぜこのように無資格通訳案内が発生するかというと、
経験上、以下のような理由が考えられます。
(1)通訳案内士という資格自体が認知されていない
(2)通訳案内士試験が難しく日本人にとって有利
(3)通訳案内士の対応言語が10言語しかない
(4)通訳案内士の人数は多いが新参者に仕事が回ってこない
(5)抜け道がある
まず、「通訳案内士という資格自体が認知されていない」。
弊社にお問合せをいただくお客様で、単なる通訳でなく、
ガイドも希望される方がいらっしゃいます。
これまでの対応から、通訳案内士という資格が一般的に
認知されていないように思います。
次に、「通訳案内士試験が難しく日本人にとって有利」。
通訳案内士は国籍不問であるため、
外国人の通訳案内士もいます。
通訳案内士試験は、外国語の筆記の他、
地理・歴史・一般常識を日本語で問う試験です。
そのため、中国の方などが受験を断念するケースが
多いようです。その結果、通訳案内士は
圧倒的に日本人が多いことになります。
また、「通訳案内士の対応言語が10言語しかない」。
通訳案内士の使用言語は以下の10言語です。
英語、フランス語、スペイン語、ドイツ語、中国語、
イタリア語、ポルトガル語、ロシア語、韓国語、タイ語。
弊社に「ベトナム人に観光案内をしたい」という
ご依頼が来た場合、通訳案内士の資格がカバーできないため、
対応に苦慮することがあります。
その他、「通訳案内士の人数は多いが
新参者に仕事が回ってこない」。
通訳案内士は1万9000人いるそうですが、
せっかく通訳案内士の資格をとっても、
仕事がまわってこないという話をよく聞きます。
通訳案内士を束ねる組織があり(JGA、JFG、GICCSなど)、
仕事の割り振りが古参の会員に集中して、
新しい人には仕事がまわってきにくいそうです。
最後に、「抜け道がある」。
通訳兼ガイドは通訳案内士がいるが、
ガイドをしなければ、普通の通訳で大丈夫、
となったりすることから、お客様サイドで
ガイドだけ連れてこられるケースがあります。
以上、これまでの経験から
上記のような問題のため、
無資格通訳案内が発生しているように思います。
しかし今回の規制緩和により、
通訳案内士の国家資格がなくても
観光ガイドの報酬を得られるようになるとのことで、
今後の動向に注目しています。
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