ミャンマーの工業団地は、民間工業部門の発展を後押しする目的で、1988年以降、18カ所が設けられた。工業省によると、ミャンマーには18地区の工業団地、34地区の準工業団地、7地区の新工業団地がある。
18地区の工業団地のうち、4地区24カ所の工業団地は、はヤンゴン管区にある。1990年にヤンゴン管区シュエピーター郡区に第1号工業団地が誕生したのを皮切りに、1992年にはサウス・ダゴン工業団地、1995年にはラインタヤ工業団地が設けられた。最も新しいのは、2006年設立のミャウンタカー工業団地。ヤンゴンの工業団地のほとんどは建設省住宅局によって開発されたものだが、民間企業が開発した工業団地もある。
ミンガラドン工業団地
ヤンゴン市街から北に約20km、国道に隣接し、ヤンゴン港へは約24km、ヤンゴン国際空港からはクルマで約15分という利便性の高い場所に、ヤンゴン管区への海外直接投資を目的として開発された、ミンガラドン工業団地がある。
1996年にミャンマー建設省住宅局と日本の三井物産株式会社の合弁事業としてスタートし、開業は1998年2月。約90万平方メートルの総面積に、ミャンマーの全工業団地の中でも群を抜く強固な基盤設備を持っているのが特長だ。33KVAの変圧器と配電ケーブルを備える電力、15の貯水タンクを持つ15の管井戸によって1日に5,000トンの水を供給可能な工業用水、全廃水は水処理施設に集めて2万6,215平方メートルの廃水タンクに排出する汚水処理、300のIDD回線が接続された国際通話回線などを網羅し、まさに堂々たる国際水準工業団地といえるだろう。
2006年に三井物産がJVから撤退して以降は、建設省住宅局とシンガポールの企業、ケップベンチャー社が開発を実行。工業団地の運営は、東京エンタープライズ株式会社が行っている。味の素の工場は2001年から休眠状態にあるものの、現在でも、日本、香港、シンガポール、韓国、台湾、フィリピンの企業が工場を構え、衣料を中心に電子部品、食品などを製造している。
ティラワ工業団地
ティラワ経済特別区へ
ヤンゴン市の南東約20kmに位置し、ヤンゴン管区、ヤンゴン南部地区に含まれるティラワ工業団地は、2000年に開設された。もっとも、2013年2月の段階では、食品・飲料、衣料品など、わずか3工場が稼働しているにすぎなかった。このティラワ工業団地が、今、にわかに注目を集めている。
2012年4月、テイン・セイン大統領が来日した折に、ミャンマー国家計画・経済開発大臣と日本の外務大臣および経済産業大臣との間で、ティラワ開発マスタープラン作成に関する了解覚書(MOU)を締結。さらに、2012年12月には、日本、ミャンマーの両国は、ティラワ工業団地を含む「ティラワ経済特別区」開発に関する協力覚書に署名した。
そして、2013年5月、日本、ミャンマー双方の民間企業連合によるJV設立のためのMOUを締結。2013年10月に三菱商事、丸紅、住友商事の均等出資にて設立したエム・エム・エス・ティラワ社49%、ミャンマーの官民連合51%出資によるJV設立契約書に署名するに至り、2013年11月には起工式典が開催されている。
先行開発エリア
ティラワ経済特別区の総開発面積は、東京ドーム510個分相当する約2400ha。ここに製造業の工場を中心として、商業施設や住宅、医療、教育機関などの一大集積地を形成する予定だ。
約400haの先行開発エリアに関しては、三菱商事、丸紅、住友商事の3社が、2012年夏から事業化調査と環境影響調査を共同実施。今後の工業団地の造成、販売、運営は、エム・エム・エス・ティラワ社とミャンマーの官民連合の出資で設立された、MJティラワ・デベロップメント社が行う。インフラ関連では、敷地内道路や浄水場、下水処理場、送水管、雨水・排水調整水路、配電網などの整備を計画。
造成着工に合わせ、販売も開始する方針で、縫製業や二輪・四輪の裾野産業など、100社弱と見込まれる進出企業が決まり次第、工場本体の建設も始められる。400ha規模の工業団地であれば、通常、50~100社程度の立地が見込まれるという。
2013年5月には、発電所や変電所、送電線、配電線、ガスパイプライン、港湾の整備に対し、約200億円の円借款供与が決定。先行開発エリアの周辺インフラの整備については、円借款が活用される。道路拡張、橋梁や浄水場の整備なども、円借款によって行われる可能性がある。
総事業費約170億円で2015年半ばの開業を目指し、「アジア最後のフロンティア」と呼ばれるミャンマーの大型開発が進む。
掲載日:2014.2.19
参考資料:日本貿易振興機構の資料より作成
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