中近東進出の魅力

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中近東進出の魅力-日経企業の進出も積極化

2013年には、安倍晋三首相が中近東を歴訪、また第5回アフリカ開発会議が横浜で開催され、日本企業の中近東・アフリカ進出も相次ぐなど、中近東・アフリカを取り巻く熱気はますます高まりを見せている。

その根底にあるのが、資源ブームによるこれらの地域の最近の高い経済成長だ。言うまでもなく中近東の湾岸諸国は石油や天然ガスを豊富に産出し、アフリカにおいては油田やガス田の開発がさらに進められ、また金属鉱物資源も多数有する。近年の中国をはじめとする新興国のエネルギーや鉱物資源の需要拡大によって、資源価格は上昇。それが中近東・アフリカ経済を活性化させ、個人消費を伸ばしているのだ。

企業にとって、中近東・アフリカ地域への進出の魅力は、地域経済の活性化と個人消費が好循環を生んでいることだけにとどまらない。これらの地域には、ASEAN(東南アジア諸国連合)に勝るとも劣らない数の富裕層が存在する。そして、彼らは、先進国向けに展開する商品、サービスを購入できる所得水準を満たしているのだ。実際、自動車や家電、食品、アミューズメントなどの分野において、日本と同水準またはそれ以上の価格帯で中近東・アフリカで展開する企業はけして少なくない。

さらに、中近東・アフリカ市場の大きな魅力の一つといえるのが、巨大な若年層人口だ。
2010年時点で、中近東の24歳以下の若年層人口は、1億4300万人を上回っている。同じ時点での、日本の若年層人口がおよそ3000万人、アメリカのそれが1億500万人であることをふまえると、この数字がいかに大きなものかがわかるだろう。一方、アフリカの若年層人口は、すでに中国やインドを超え、2030年にはおよそ8億7600万人に達すると、米国国勢調査局は予測する。

中近東・アフリカ経済がこのまま順調に推移すれば、若年層もその恩恵を受けるのは間違いなく、彼らが消費活動に加わることによって、中近東・アフリカ地域の消費財市場などは爆発的な拡大が見込まれる。また、若年層は、上の世代より外国製品の受容度が高いのも、進出する企業には少なからずメリットになるはずだ。

加えて、これらの若年層が一定の教育水準や勤労意欲を備えるなら、貴重な労働力としてもとらえることもできるだろう。

これだけのポテンシャルを秘めながら、日本企業の進出もまだまだ少ないだけに、先行者利益獲得の可能性も十分。世界で一、二を争う「親日」の地域である点も心強く、企業が進出するに値する魅力をあり余るほど備えている。

※参考文献:『知的資産創造』2014.3月号「変貌する中東・アフリカ市場」(野村総合研究所)

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